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原稿にAIを使ったら、出版社に何を伝えるべきか

本を書く際に生成AIを使った場合、その事実をどこまで明らかにする必要があるのでしょうか。2026年9月29日、韓国出版人会議、韓国出版研究所、韓国作家会議など12団体が、この問いに答える初めての共通基準を発表しました。名称は『読者のための出版社と著作者のAI使用原則』で、5章20条から成ります。法的拘束力のない自主的な原則ですが、今後出版社と契約する著者は、契約書の作成時や原稿の提出時にこの基準に触れる機会が多くなりそうです。

誰が、どの場で発表したのか

原則は、韓国出版人会議がソウルの麻浦中央図書館で開いた政策フォーラム「危機を越えて共存へ:AI時代の出版エコシステムが進むべき道」で発表されました[1][2]。聯合ニュースの報道によると、出版社へのアンケート調査、専門家による検討、複数回の議論を経てまとめられたものです。関連制度が整う前に、出版界が自ら定めた約束でもあります[1]。

韓国出版人会議のホン・ヨンワン会長は、この原則について「AI技術を排斥したり、AI生成物に緋文字を刻んだりするためのものではない」と述べました[1]。

原則の柱:人間が責任を負い、AIは道具とする

報道で確認できた原則の要点は4つです[1][2]。

  • 本を作る主体は人間であり、最終的な責任も人間が負う。AIはあくまで道具であり、著作者や共同著作者の地位を持たない。
  • AIを活用した場合は、その事実と範囲を読者や利用者が分かる形で公開する。
  • 出版物をAIの学習に使うには、権利者の同意と正当な対価を前提とする。
  • 出版契約書の作成時に参考となる推奨事項と、自社の書籍を学習データとして活用する際の基準を定める。

3つの区分と表示

原則では、人間による検証の有無に応じて、出版物を「人間の著作物」「AI補助著作物」「AI生成出版物」の3つに分けています。このうち「AI補助著作物」と「AI生成出版物」には、その旨を表示することを推奨しています[1][2]。裏を返せば、「人間の著作物」に分類される本は、表示を推奨する対象ではありません。

3つの区分を分ける具体的な基準は、今回の報道だけでは確認が難しいところです。原則の全文が公開されたら、著者が真っ先に確認すべき箇所です。

著者がすべきこと:事前の告知

著者に直接関わるのは、告知に関する条項です。原則では、著作者がAIを活用した段階と範囲を、あらかじめ出版社に伝えることとしています[1][2]。初稿を書く際に、どの段階で、どの道具を、どの程度使ったかを記録しておかないと、後で出版社に聞かれたときに記憶を頼りに答えることになります。この原則が現場に定着すれば、AIの使用記録も原稿と一緒に渡す資料になります。

記録は執筆中に1枚にまとめます。欄は4つあれば十分です。道具、活用した段階、活用した範囲、人間が検証した内容です。3つの区分は人間による検証の有無で分かれるため、最後の欄は空けたままにしないでください。

提出直前に記憶を頼りに書いたメモ
原稿の一部にAIを活用しました。主にアイデアを得るために使いました。
執筆中に残した記録
道具:対話型AIサービス(名称と使用期間)段階:資料調査、目次の構成。初稿と推敲には未使用範囲:第3章の事例リストの下書き。本文は自分で執筆人間が検証した内容:各事例の原文を探し、出典と照合

現場ではどこまで進んでいるのか

フォーラムの基調発表で、徳成女子大学AIダイナインフォ研究所のパク・ジョンイン教授が、7月に韓国国内の出版社188社を対象に行った調査の結果を発表しました[1]。

パク教授は、補助的な利用はすでに日常化している一方、核となるコンテンツの生成はまだ限定的な段階にあると分析しました[1]。

  • 生成AIを積極的に活用しているという回答は9.6%、一部の業務に活用しているという回答は45.7%、試験的に導入したという回答は20.7%でした。
  • 生成AIが主要なコンテンツを作った出版物を、少なくとも1点刊行した経験があるという回答は20.7%でした。
  • どのような場合からAIの表示が必要かという質問では、「本文の相当な部分をAIが生成した場合」という回答が64.9%で最も多くなりました。
  • 契約にAIの利用開示と紛争時の責任に関する条項が必要だとは考えているものの、まだ何も準備できていないという回答は66%でした。

まだ結論が出ていないこと

この原則は一部の出版団体と著作者団体による推奨事項であり、従わなくても制裁を受けることはありません。ソウル新聞は、強制ではないため制度化までは道のりが長いと指摘しました[2]。パネリストとして登壇した江原大学法学専門大学院のチョン・ジングン教授は、AIの活用を一律に制限するよりも、責任ある活用を促す方向でガイドラインを設計すべきだと提案しました[1]。

参考

  • [1] 聯合ニュース、2026年9月29日報道。
  • [2] ソウル新聞、2026年9月29日報道。

よくある質問

原則に従わないと不利益がありますか?

法的拘束力のない自主的な原則なので、従わなくても制裁を受けることはありません。ただし、出版契約書を作成する際に参考となる推奨事項が含まれています。出版社と契約する著者は、契約書の作成時や原稿の提出時に、この基準に触れる可能性が高いといえます。

AIが書いた部分が多ければ、共同著作者に加えるべきですか?

いいえ。原則ではAIを道具と位置づけ、著作者や共同著作者としては認めていません。本を作る主体は人間であり、最終的な責任も人間が負います。その代わり、AIを活用した事実と範囲を読者に公開することとしています。

AIをどの程度使うと表示の対象になりますか?

3つの区分を分ける具体的な基準は、報道では確認できませんでした。原則の全文が公開されたら、真っ先に確認すべき箇所です。それまでは、出版社側の認識を参考にできます。2026年7月に出版社188社を対象に行った調査では、「本文の相当な部分をAIが生成した場合」から表示が必要だという回答が64.9%で最も多くなりました。

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